【王子 小3 8歳】
王子3年の夏、野球の絵を描く機会が、ありました。
時間があまりなかったので、王子は、ぴゃぴゃっと、ばばーっと、絵を描いて、色もちょちょっと塗って、秒速で、しあげました。
( ゚Д゚)
その絵を見て、ママリは、びっくりしました。
え?
そこには、西部ライオンズの選手が、何人か、描かれていました。
こちらを向いて、野球をしている感じです。
ライオンズのマークが入ったユニホームも、着ていました。
ふむ。
ふむ?
王子は、大の、大大の佐々木朗希投手のファンで、応援しているチームは、千葉ロッテマリーンズ、なんです。
ライオンズじゃ、ないんです。
そうじゃ、ないんですよ。
そうじゃないんだよ。
でも、絵としては、成立していました。
王子のことを、知らない人間からみれば、「西部ライオンズファンの子が、大好きなライオンズの選手を、描いたのだな☆」と、思うことでしょう(笑)
ママリは、何か、面白い理由がありそうなので、笑う準備を、しました。
「なんで、ライオンズの絵を、描いたの?」
王子は、ママリの質問の意図に、全く、気づかず、?顔でした。
「え?だめ?」
「なんで、ロッテの絵を、描かなかったの?」
ママリが、プンスカしていると、王子は、またしても、?顔でした。
「え?描いたよ。」
今度は、ママリが、?顔の番です。
「え?ライオンズの外崎修汰 (二塁手、王子が好きなライオンズの選手) 、描いたでしょ?この、裏切り者めーーーー。」
と、ママリが王子に、ヘッドロックをかますと、王子の方が、日々冒険をしていて強いので、冷静に外され、真顔で、諭されました。
「ママ、僕、ロッテの試合、描いたよ。」
「え?どこに?」
「僕が、4番バッターで、キャッチャーなの。この回は、僕からだから、塁には、ランナーがいないよ。他の選手は、僕の後ろにいるよ。」
と、言ったんです。
ボ ク ノ ウ シ ロ ニ イ ル ⁉
( ゚Д゚)
これは、面白かったですね。
王子は、ロッテとライオンズの試合の絵を、描きました。
で、今は、ライオンズが守っていて、更に、ロッテのランナーが、塁に出ていないので、王子の目の前の光景には、ライオンズの内野手だけが、見えているんです。
で、それを、そのまま、描いたんですね。
で、ロッテの選手は、バッターなので、今、バッターボックスに立っていて、打っている王子の、後ろに、いるんです。
全員。
なるほどねー。
王子は、
ロッテの試合の絵を描いて、ロッテの選手が、誰もいない瞬間を、あえて、切り取って、絵にした
んです。
斬新でした。
天才的ではないですが、斬新でした。
普通なママリは、つい、
「大好きなロッテの選手を、描きたい。」
「ロッテの選手の絵を、見てもらいたい。」
そう、考えてしまいます。
でも、確かに、よくよく考えてみると、ロッテの選手を描いて、見てもらうことは、とても、社会的な気がしてきました。
ママリは、「絵を見ている人間」に、ママリが、ロッテのファンだと知ってもらいたい、ロッテの選手を知ってもらい、という、相手に働きかける絵柄を、選んでいるんですね。
でも王子は、見ている人間は、虫、無視してますね。
見ている人間が、どう思おうと、どんな理解をしようと、王子は、どうでも、いいんです。
見ている人間が、なんと言おうと、そこまでは、気にしないんです。
ちょっとは、気になります。
王子画伯にとって、多分、大事なことは、「見ている人間」ではなくて、「僕が、何を描きたいか」なんですね。
以前も描いたように、王子は、
「これ、描きたい」
おしまい。
なんです。
状況を把握することが苦手で、
関係性を捉えることも苦手で、
三次元を捉えることももももも、
苦手な王子の、
「ロッテの試合」は、
こうなるんですね (笑)
実は、ママリ、この王子の視点を知ってから、絵を見るのが、楽しくなってきましたよーーー☆
ママリは、描いてあることを見て、漠然と、ママリの常識の範囲内で、想像したり、考えることしかできません。
まさか、描き手が、そんな視点で、世界を見ていて、その瞬間を切り取っていたとは、思いもしませんでした。
一見、ライオンズファンの王子の絵が、実は、ロッテファンの王子の絵であるように、微笑んでいる聖女の絵には、全く違う視点、考え方、捉え方、意味が、あるのかもしれません。
見えている表面、絵の部分とは、全く違う、見えていない真実が、あるのかもしれません。
そんな風に、小学校の廊下に飾ってある、子供達の絵を、見るようになりました。
※ 王子は、天才ではありません。