【王子 小3 8歳】
前回、書いたのですが、王子は、
「なんで、そうしたの?」
と聞かれても、答えられないことが、多いです。
その理由の一つは、
『なんでそうしたのか、僕にも、よく、分からない。』
からです。
更に、自分でも、よく分からないことを、言葉で説明するのは、とても、難しいからです。
なので、王子との会話で、ママリが、気をつけていることの一つに、「なぜ?」ではなく、ピンポイントで、質問をするというのが、あります。
例えば、王子が、2年生の時に、先生から、めちゃくちゃ、叱られました。
王子は、授業中に、持っていた消しゴムを、投げてしまって、お友達に、あたりそうになりました。
ママリは、この話を聞いて、王子の、注意欠如多動症の「衝動性」が理由かな?と思いました。
「衝動性」は、例えば、ついお友達の邪魔をしてしまう、というような、頭では、何も考えていなくて、体が、勝手に、動いてしまうパターンかなと、思いました。
それで、王子に、聞きました。
「なんで、投げちゃったの?」
「分からない。」
一見、この、王子の「分からない」という答えは、投げやりで、考えることを拒否している、失礼な答えに思えるのですが、王子の場合は、違います。
王子は、分かれば、ちゃんと、答えます。
なので、王子が、「分からない」と言ったら、王子は、本当に、分からないんです。
なぜ、自分が、あの時、消しゴムを投げたのか、その理由は、王子には、見当たらないんです。
ママリが、他の子供達を、注意して、感じたのは、他の子供達 (数人なので、参考程度にしてください) は、質問に対して、「分からない」と言うことは、ほぼなく、みんな、何かしらの答えを、言ってきました。
言えなくても、分からなくても、言おうと、してきました。
筋が通っていなくても、何か、言ってきますね、理由とか、事件があったとか、言い訳とか、それを見ていると、やらかしたけど、本人なりに一生懸命考えて、反省しようとしてるのだなと、感じます。
一方の王子は、その子供達と比べると、何も言わないので、何も考えていないし、反省していないように、見えます。
でも実際には、考えているのですが、考えても、王子本人にも、さっぱり、理由が、分からないのが原因なのですが、一見、なげやり?反抗的?無気力?に、見えます。
ママリは、もう慣れているので、ふむふむ「分からないのね」としか、思いませんが、外では、失礼な子だと思われることでしょう。
こういう態度を、ママリは、王子に、何かを注意するたびに、教えてきましたが、なかなか、身につきません。
少しづつ、よくなっていますが、まだもう少し、練習が、必要です。
さてさて、
ここから、ママリの、『答え探し』が始まります。
「チャタは、投げたいとは、思わなかったんじゃない?」
「体が、勝手に、動いちゃったんじゃない?」
と、ママリは、注意欠如多動症の衝動性が原因、だと考えていたので、このように質問しました。
王子は、その時のことを思い出して、
「違う。」
と、頭をフリフリしました。
「僕は、投げたいと、思ったんだ。」
「投げたいと思ったら、手が、動いて、投げちゃった。」
と、答えました。
( ゚Д゚)
え?
「じゃあ、体が、勝手に投げたんじゃなくて、投げたいと思った自分を、我慢できなかったの?」
「そうそう。」
王子は、コクコク、頷いていました。
そうか。
なるほど。
そうなると、話が、全然、変わってくるんですね。
何も考えていないのに、勝手に、体が、投げてしまうのと、王子本人が、「投げたい」と思った気持ちを、抑えきれなくて、投げてしまうのでは、対処の方法が、全然、違います。
ママリの予想は、外れましたが、ピンポイントで質問ができたので、王子が、何を考えて、何をしてしまって、今後どうするべきかが、見えてきました。
さらに、
発達障害があり、視野が狭く、まわりが全く見えていない、王子は、そもそも、『状況の把握』が、とてつもなく、苦手です。
さっきの例えは、「何が原因なのか、王子にも分からない」ことが理由だったのですが、これから出す例は、「状況把握ができていないので、状況が、さっぱり分からない」時の例です。
1年の最初の頃に、めちゃくちゃ叱られた内容は、こんな感じです。
お友達が、自分の机で、引き出しの中を、整理していたのに、王子が、いたずらをして、机をひっぱって、お友達の引き出しが、落ちて、大惨事になってしまった。
これは、王子、相当叱られたと、聞いています。
その日、支援級の先生から、電話があって、
「今日、チャタ君が、ふざけていたので、叱りました。お母さんからも、いたずらについて、注意してください。」
と、強い口調で、言われました。
で、王子に、
「今日、先生に、叱られたんだって?なんで?」
と聞いたら、
「分からない。」
「なんで、先生から、叱られたのか、分からない。」
と、答えたんですね。
今日ですよ、学校で叱られたのに、その理由が分からないって、どういうことやねん?
ママリの頭の中は、???だらけでした。
「お友達に、いたずらしたの?」
「ううん。」
ふむ。
王子は、ちょっとの期間、一緒に過ごした子供に対して、いたずらができるタイプの子星人ではないので、王子のこの返答で、ママリも、おおよそのことが、理解できました。
「じゃあ、なんで、机、ひっぱったの?」
「後ろに、持って行こうとした。掃除の時間だったから。」
と、言いました。
なるほど。
「お友達は、何してた?」
「分からない。」
「立ってた?座ってた?」
「立ってた。」
「引き出しを、整理してなかった?」
「え?……分からない。」
「先生には、なんて言われたの?」
「よく、分からなかった。」
「引き出しが落ちて、中の物も、落ちちゃったんでしょ?」
「うん。」
「なんで、落ちたと思う?」
「分からない。」
ママリは、はっきりと、理解しました。
王子は、お友達が、机の横に立っているのは知っていたけど、引き出しを、ガチャガチャしていたことには、気づいていなくて、引き出しの中身が下に散乱したことも分かっていたけど、その理由は、分かっていませんでした。
ママリは、お友達が、引き出しの中身を少し出したまま、整理していて、その状態で、誰かが、机をひっぱったら、引き出しが下に落ちて、中身が散乱しちゃうよ。
ひっぱった、王子が悪いから、もっと、まわりをよく見てから、行動しないとダメだよ、と伝えました。
みんなの『状況』は、
『引き出しの整理をしていた、お友達に、王子が、いたずらをするために、机を、わざと、ひっぱった。』
でした。
一方の、王子の『状況』は、
『掃除の時間だから、机を、後ろに、運ぼうとした。』
だったんです(笑)
これを、聞いた瞬間、ママリの体から、へろへろと、力が抜けていきました。
王子の、状況把握能力は、0です。
ママリは、学校に電話をして、王子が話したことを伝えました。
王子の、考えていること、特徴、対応の仕方等々が、伝わりました。
みなさんにも、王子の、状況把握能力の低さ、伝わりましたか?
なので、王子は、「なんで?」に、弱いです。
王子の答えは、
「掃除の時間だから、机を運ぼうとした」のに、
「いたずらした」「ひっぱった」「ダメだ」とか、
みんなが、怒ってて、相手の子も、泣いてて、
自分の考えや、気持ちは、言葉にできないから、何も言えないし、
何が悪いのか、分からないけど、僕が、叱られて、謝ることになって、
どういう状況なのか、さっぱり、分からない。
王子は、黙って、泣いていたそうです。
うーーーん。
とても、難しいですね。
王子が悪いのですが、あまりにも、まわりが、見えていないし、言葉が足りないんですね。
こんな王子なので、よく、誤解されます。
王子の弁明のためにも、王子が何を考えて、どういう行動をしたのか、詳しく聞くことは、とても大事だと、ママリは考えています。
もう一つ、王子にとって、とても大事なことなのですが、
『王子は、一人で生きていたら、まわりの物事を、正確に理解できず、まわりの人たちのことを、「理不尽だ」と感じ、考えてしまうのではないか』
と、ママリは、考えています。
なぜなら、王子本人は、「何も、悪いことをしていない」と思っているのに、叱られて、嫌だし、理不尽だからです。
当然、まわりに対して、不満が、募ると思います。
だって、掃除の時間だから、机を運ぼうとしたら、めちゃくちゃ叱られたら、どう思いますか?
でも、王子が、
「僕は、悪気がなかったけど、やってしまったことが、相手を傷つけたり、嫌な思いをさせてしまった。僕が悪かった。」
と、理解して、納得していれば、まわりに対して、嫌な気持ちは、わいてこないのではないかなと考えています。
なので、自分の、失敗や行動の、詳細を聞かれ、分析され、ダメだしされるのは、いい気持ちではないと思いますが、子星人である王子にとっては、とても大事なことだと、ママリは、考えています。
もう一つ、しょっちゅう叱られている王子の、心の安定のために、ママリが、よく言っている言葉が、あります。
『王子のことを、叱ってくれる人は、王子のことが、好きだから。』
これは、事実で、子供、特に、発達障害がある子供を叱るのは、とても、難しいので、王子のことを叱ってくれる人は、王子の味方で、間違いありません。
発達障害がある子供の反応は、全く、読めません。
普通の子供の場合、ある程度、返ってくる反応は、予想ができます。
でも、王子の場合のように、発達障害がある子供の反応は、全く、予想を、裏切ってきます。
なので、学校の先生方が、普通級の授業を進めながら、発達障害のある子供につきあうのは、時間がかかるし、とても、骨がおれると思います。
それでも、王子の小学校では、担任の先生は、根気強く王子と向き合い、支援級の先生方も、王子を、見守ってくれています。
とても、ありがたいです。
そして、以前も書きましたが、王子は、友達にも注意されます。
これも、王子にとっては、ありがたいことです。
担任からも、「チャタ君は、私が言っても、そこまで効果はないんだけど(笑)、友達に注意されると、ききます。」と言われたので、見守っていこうと思っています。
王子は、人間の顔が分からないので、叱られている時、相手の表情も、見えていません。
王子は、紙等に描いてある絵や写真、実際のママリの表情は、拾えるのですが、他の人間の、高速で動く表情は、捉えられていないようです。
こういう事情もあるので、王子には、あらかじめ、今のところは、「叱ってくれる人は、味方だ」で、いいのかなと考えています。
ピンポイントの質問攻め、ぜひ、試してみてください♥